2023.03.30
Thursday
花粉症で目がかゆい時の対処法
【医師監修】花粉症で目がかゆい時の対処法|原因や目薬の使い方も解説
毎年花粉症で目のかゆみに多くの人が悩まされていますが、その対処法まで知っている人はそれほど多くないのではないでしょうか。本記事では、花粉症による目のかゆみの原因からその対処法までご紹介していきます。花粉による目のかゆみに悩んでいる人は是非ご覧ください。
花粉症の症状で最も悩ましいものの1つに、「目のかゆみ」があります。
花粉症で目がかゆくなる原因・かゆみを抑える目薬の正しい使い方はご存じでしょうか。症状を抑える対処方法や対策グッズもご紹介しますのでチェックしましょう。
目次
花粉症?目がかゆくなる理由は?
私たちの身体は、体内に花粉が侵入するとその花粉を排除しようと抗体を作る働きがあります。再び花粉が体内に侵入すると免疫反応が起き、かゆみなどの炎症を引き起こします。
ただ、目がかゆくなる原因には私たちのちょっとした癖が関係している可能性もあるため、それぞれ原因について詳しくみていきましょう。
花粉によるアレルギー性結膜炎
花粉による目のかゆみの原因のほとんどはアレルギー性結膜炎が原因です。
目に花粉が付着し体内に侵入すると免疫反応が起こり、その免疫反応が過剰に反応するとアレルギー症状を引き起こし目のかゆみに繋がります。
また、その経路はまぶたの裏にある粘膜が花粉に接触してかゆみを引き起こす場合や、花粉を鼻から吸い込んでかゆみを引き起こす場合もあります。
出典:公益社団法人 日本眼科医会 | アレルギー性結膜炎の治療と対策
目もとの肌トラブルが原因のことも
目のまわりは皮膚が薄いため肌トラブルが生じやすく、花粉による外部からの刺激によって目のかゆみが引き起こされることがあります。
また、目がかゆいからとゴシゴシこすってしまうと目のまわりの肌のバリア機能が弱まり、かゆい範囲がさらに広がってしまいます。範囲を広げないためにも、目のこすりすぎには注意が必要です。
花粉で目がかゆいときの対処法
とにかく目がかゆかったり、ごろごろして嫌な感じがしたりと花粉による目の症状はかなり辛いものがあります。思わずこすってしまいがちですが、対処法としてはあまり良くありません。
花粉で目がかゆい時には主に「目薬をさすこと」「目を冷やすこと」「目を洗浄すること」が有効な対処法だと言えるでしょう。
目薬をさす
つらい目のかゆみは目薬で症状を抑えることが可能です。
目薬は症状によって種類が変わってきます。
例えば、かゆみなどの軽度の症状であれば抗アレルギー点眼薬があり、重度の症状であればステロイド点眼薬、免疫抑制点眼薬などがあります。ステロイド点眼薬は副作用で眼圧が上がってしまうことがあるため、ステロイド点眼薬を使用する際は定期的に眼科を受診してください。
また、これらの目薬による治療は根本的に治すものではなく症状を軽減する目的で使用されます。
洗眼液などで洗浄する
洗眼液は、目の周りの異物や花粉などの刺激物質を除去するのに効果的なアイテムです。特に、花粉症を持つ人には、目のかゆみを緩和するために欠かせないアイテムとなっています。
洗眼液を使うことで、目の表面を優しく洗浄し、異物や細菌などを取り除くことができます。
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目を冷やす
花粉症の目のかゆみには「目を冷やすこと」も有効な対策方法の一つです。
目を冷やすことで炎症を抑え、充血を抑えることができます。また、冷たい刺激でかゆみを和らげることもできます。
ただし、目を冷やし過ぎると逆に症状を悪化させることがあるので、適度な冷やし方を心がけましょう。
目薬の使い方と注意点
目薬は、目の炎症やかゆみ、充血などの症状を和らげるために使われる医薬品です。
しかし、正しい使い方を守らないと効果が発揮されなかったり、副作用を引き起こすこともあります。目薬の使い方と注意点について詳しく解説します。
目薬を使い始めるタイミング
花粉症による目のかゆみは、目薬を使うことで症状を緩和することができますが、目薬を使い始めるタイミングが遅れると、効果を発揮する前に症状が悪化してしまうことがあります。
まずは、花粉症の症状が現れる前に、予防的に目薬を使うことがおすすめです。花粉症の季節が近づいたら、定期的に目薬を使用するようにしましょう。
また、花粉症の症状が現れたときに、早めに目薬を使うことが大切です。目のかゆみや充血が現れたら、すぐに目薬を使うことで、症状を軽減することができます。
花粉症に使える目薬の種類
花粉症に使える目薬の種類については、ヒスタミンの働きを抑え、かゆみや充血を抑える効果がある「抗ヒスタミン薬」、目の炎症を抑え、充血を抑える効果がある「抗炎症薬」、目の乾燥を防ぎ、かゆみや充血を軽減する効果がある「人工涙液」などがあります。
症状に合わせて、適切な目薬を選んで使用することで、症状の軽減や予防につながります。ただし、医師の指示に従って使用するようにしましょう。
目薬の正しい使い方
花粉症の症状である目のかゆみや充血を緩和するために、正しい使い方を知らないと、逆に症状を悪化させてしまうことがあります。
まず目薬を使う前には、必ず手を洗って清潔にしておきましょう。手に付着した細菌や汚れが目に入ると、炎症を引き起こすことがあります。
次に目薬の使用量は、1回1滴で十分です。多めにさしてしまうと、目薬が目から溢れてしまい、目の周りの皮膚に悪影響を及ぼす可能性があります。
そして、複数の種類の目薬を使用する場合は、5分以上の時間をおいてから使用するようにしましょう。また、複数の目薬を続けてさしてしまうと、先にさした目薬が効かないうちに次の目薬に流されてしまいます。
これらのポイントに注意して適切な方法で使用するようにしましょう。
目薬を使う際の注意点
目薬を使用する際には、正しい使い方以外にもコンタクトレンズに対応可能であるかや保管方法などを守ることが重要です。
目薬を使う際の注意点などについて詳しく解説していきます。
コンタクトレンズに適した目薬を使う
コンタクトレンズを使用している人は、目のかゆみの対策で目薬を使う際に適した目薬の選択が重要です。
コンタクトレンズに適した目薬は、目の乾燥を防ぐ成分が配合されているものや、コンタクトレンズに優しいものがあります。また、基本的には目薬を使用する前には、必ずコンタクトレンズを外してから目薬をさすようにしましょう。
さらに、目薬をさした後は、十分に時間を置いてからコンタクトレンズを装着するようにしましょう。これらの注意点を守ることで、目薬の効果を最大限に発揮し、目の不快感を軽減することができます。
容器の先端部分を清潔に保つ
目薬には先端部分にノズルがついています。このノズルは、製品を正確に使いやすくする一方で、汚れや菌が付着することもあるため、清潔に保つことが大切です。
容器の先端部分を清潔に保つためには、目のまわりや指が容器の先端に触れないように注意しましょう。容器を正しく使い、清潔な状態を保つことで、製品の効果を最大限に発揮することができます。
保管方法に注意する
目薬は正しい保管方法を守らないと、効果が低下したり、細菌が繁殖してしまう可能性があります。
常温で保存する場合は、直射日光や高温多湿を避け、冷暗所で保管することが重要です。また、目薬は他の薬と一緒に保管しないでください。
使用後は、キャップをきちんと閉めて保管しましょう。さらに、目薬は直接目に触れないように使用するため、清潔な手で扱うよう心がけましょう。
花粉症を防ぐ方法
花粉症は、多くの人が悩まされるアレルギー疾患です。しかし、正しい予防方法を実践することで、花粉症の症状を軽減することができます。
花粉症を防ぐためには、日常生活の中で気をつけることがあります。以下では、花粉症を防ぐ方法について詳しく説明していきます。
花粉が多く飛んでいるときは外出を控える
花粉症の方にとって、外出時の花粉の被害は避けられません。
しかし、花粉が多く飛んでいる時期に外出を控えることで、症状を軽減することができます。
花粉の飛散状況は天候によって大きく影響を受けます。特に、晴天で風の強い日には花粉が多く飛散する傾向があるため、外出を避けるように心がけましょう。また、花粉症の症状が出やすい時間帯は朝早くや夕方以降です。
花粉症に悩まされる方は、花粉が多く飛んでいる時期には外出を控えることをおすすめします。
眼鏡やマスクを着用する
花粉症の季節は外出時には対策を講じることが大切です。眼鏡やマスクを着用することで、花粉の侵入を防ぐことができます。
眼鏡は、目の周りを覆い、花粉が目に入るのを防ぎます。また、マスクは花粉を吸い込むことを防止するだけでなく、口や鼻を保湿するためにも有効です。さらに、花粉が多い日は、外出時には長袖や帽子、手袋などを着用することもおすすめです。
これらの対策を組み合わせることで、花粉症の症状を軽減することができます。花粉症に悩まされる方は、眼鏡やマスクを着用することなど、積極的な対策を講じてください。
帰宅時に洗顔、うがい、鼻をかむ
花粉症の人にとって、外出後の花粉の付着は避けられません。しかし、帰宅後に洗顔、うがい、鼻をかむことで、花粉を取り除くことができます。
洗顔は、顔に付着した花粉を落とすだけでなく、肌の保湿にもつながります。うがいは、口やのどに付着した花粉を取り除くことができ、鼻をかむことで、鼻の中に付着した花粉を排出することができます。
これらの対策を実践することで、花粉症の症状を軽減することができます。さらに、洗濯や掃除など、家の中でも花粉を取り除くことが大切です。花粉症に悩まされる方は、帰宅後に洗顔、うがい、鼻をかむなどの対策を講じて、花粉を取り除きましょう。
花粉を家の中に持ち込まない
花粉症の方にとって、家の中に花粉を持ち込まないことは、症状を軽減するために重要なポイントです。
まずは、外出時には帽子やマスク、手袋を着用し、衣服に付着した花粉を落とすように心がけましょう。また、玄関先で靴を脱いで、すぐに洗濯機に放り込んで衣服を洗濯することもおすすめです。室内に入る前に、髪や顔、手を洗うことも忘れずに行いましょう。
家の中で花粉を拡散させないために、換気の際は風向きに注意し、窓を閉めて掃除をすることも大切です。
衣服についた花粉を落とす
花粉症の方にとって、衣服についた花粉を落とすことは、症状を軽減するために重要です。外出時には、帰宅後に衣服をすぐに洗濯することが大切です。
洗濯時には、水をたっぷり使ってしっかりとすすぎ、柔軟剤は使用しないようにしましょう。また、アイロンをかけることで、花粉を取り除くことができます。アイロンをかける際は、衣服の裏側からアイロンをかけ、温度に注意しながら行いましょう。
衣服についた花粉を取り除くために、衣服をブラッシングする方法もあります。専用の花粉ブラシを使うことで、衣服についた花粉を取り除くことができます。
空気清浄機を使う
花粉症の方にとって、空気清浄機は室内の花粉を取り除くために非常に有効なアイテムです。
空気清浄機は、花粉やホコリ、ウイルスなどの微粒子を除去することができます。特に、花粉シーズンには、空気清浄機を使うことで室内の空気中の花粉を取り除くことができ、症状の軽減につながります。
空気清浄機を選ぶ際には、フィルターの種類や清浄能力、騒音レベル、電気代などを考慮して選びましょう。また、定期的なフィルター交換やメンテナンスを行うことも大切です。
花粉シーズンには、空気清浄機を活用して、室内の空気をきれいに保ちましょう。
生活習慣にも気を配る
花粉症の対策には、生活習慣にも気を配ることが大切です。
まず、十分な睡眠をとることで免疫力が高まり、花粉症の症状を軽減することができます。また、バランスの良い食事を心がけ、ビタミンやミネラルを摂取することも大切です。
さらに、運動不足は免疫力の低下につながるため、定期的な運動を取り入れることも花粉症の予防につながります。加湿器を使用して、室内の湿度を調整することも有効な対策です。
そして、ストレスは免疫力の低下につながるため、ストレスをため込まずに適度なリラックスを心がけることも大切です。これらの生活習慣の改善によって、花粉症の症状を軽減することができます。花粉症シーズンには、生活習慣にも気を配り、健康的な生活を送りましょう。
まとめ
花粉症の症状の中でも、特に目のかゆみは非常につらいものです。目のかゆみを軽減するためには、花粉を取り除く対策を行うことが大切です。
花粉症は、日常生活にも影響を与える症状ですが、適切な対策を行うことで症状を軽減することができます。健康的な生活習慣と合わせて、花粉症と上手に付き合いましょう。
【監修者情報】
- ⽒名:
- 猪俣 武範
- 所属:
- 順天堂大学 医学部 眼科学講座 准教授
- 専⾨:
- ドライアイ、アレルギー性結膜炎、花粉症、角膜移植免疫、モバイルヘルス、IoMT、AI
1981年5月、千葉県船橋市生まれ、茨城県取手市育ち。2006年順天堂大学医学部医学科卒業。2008年東京大学医学部附属病院初期臨床研修医終了。2012年順天堂大学大学院眼科学にて医学博士号ならびに日本眼科学会認定眼科専門医取得。2012年からハーバード大学医学部スケペンス眼研究所へ留学。留学中にはボストン大学経営学部Questrom School of BusinessでMBA取得。2019年11月より順天堂大学医学部眼科学講座准教授、2021年順天堂大学大学院医学研究科AIインキュベーションファーム副センター長 (併任)として、臨床、研究、教育、経営に携わる。
<出版歴>
ハーバード×MBA×医師 目標を次々に達成する人の最強の勉強法【著】猪俣武範
ハーバード×MBA×医師 働く人のための最強の休息法【著】猪俣武範
ハーバード大学眼科イラストレイテッドマニュアル【共著】猪俣武範、中尾武史
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