2024.12.24
Tuesday
【医師監修】寝不足が目に与える影響とは?~改善方法を紹介
多忙な毎日の中で、つい睡眠時間を削ってしまうことがあるのではないでしょうか?しかし、寝不足が続くと目や全身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。目は特にデリケートな器官であり、十分な休息が取れないとさまざまな不調を引き起こすことがあります。本記事では、寝不足が目にどのような影響を及ぼすのか、そしてその改善方法について詳しくご紹介します。
目次
寝不足が目に与える具体的な影響
寝不足の人はドライアイのリスクが高いことが報告されています。原因については詳しくわかっていないものの、涙の分泌量の低下や眼表面の炎症が関与している可能性が考えられています。
2.眼精疲労
眼精疲労は目の使いすぎだけでなく寝不足やドライアイ、ストレスなども原因になります。寝不足により眼精疲労を引き起こし、それによるストレスでさらに眼精疲労を悪化させるという悪循環になることもあるので注意が必要です。
3.目の充血と腫れ
寝不足が原因で血流が悪くなると、目が充血したり、まぶたが腫れたりすることがあります。これらは見た目にも疲れている印象を与えるため、日常生活に支障をきたす場合があります。
4.視野のぼやけや集中力の低下
睡眠不足は脳の働きにも影響を与えるため、視覚情報を正確に処理する能力が低下します。その結果、視野がぼやけたり、目の動きが鈍くなったりします。
また、寝不足により目の調整機能が低下するため、近くのものや遠くのものが見えにくくなることもあります。
5.重篤な症状:網膜への影響や緑内障リスク
長期間の寝不足は、目の奥にある網膜や視神経に負担をかける可能性があります。特に寝不足は緑内障のリスクとなる可能性が報告されているので注意が必要です。
質の良い睡眠を確保するためのポイント
1.寝室環境の改善
適切な照明、温度、湿度を保つことで、睡眠の質を向上させることができます。特に、寝る直前は暗い環境を作ることが重要です。さらに、騒音を防ぐために耳栓を使用したり、リラックスできる音楽を流すことも効果的です。
2.スマホやPCとの付き合い方
就寝前1〜2時間はスマホやパソコンの使用を控えましょう。ディスプレイの光に含まれるブルーライトは睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を妨げ、睡眠の質を低下させます。就寝前にはブルーライトカット機能を利用すると効果的です。
3.規則正しい生活習慣
決まった時間に寝起きする習慣をつけることで、体内時計が整い、質の良い睡眠がとりやすくなります。さらに、朝の適度な運動や日光を浴びることが、体内時計を整える助けになります。
目のセルフケア
1.目の保湿
ドライアイ対策として人工涙液を使用すれば乾燥を改善することができます。一時的に改善してもすぐに乾いて何度も点眼を繰り返す場合は眼科受診を考えましょう。
2.目を温める
蒸しタオルやホットアイマスクで目を温める方法も有効です。ホットアイマスクでしっかりと瞼をあたためると、瞼の中の固まった油を溶かすことでドライアイ改善にもつながります。また、目の血流がよくなることで疲労も改善することができます。
3.適度な休憩を取る
長時間の作業中には定期的に目を休ませるよう心がけましょう。「20-20-20ルール」(20分ごとに20秒間、遠くを見る)を実践することで、目の疲れを軽減できます。
寝不足が続いたときの対処法
1.短期間でできるリカバリー方法
・日中に15〜30分程度の仮眠を取ることで、目と身体の疲れをリセットできます。
・目を閉じて深呼吸をしたり、軽くマッサージを行うことも効果的です。
2.専門医に相談が必要な場合の目安
寝ようと思っても眠れない場合や、途中で起きてしまう場合には内科や心療内科、精神科を受診することをおすすめします。
目の痛みや視力低下がある場合は眼科を受診することをおすすめします。特に、視界がぼやけたり、強い痛みがある場合には早急な対応が必要です。
3.ストレス管理
寝不足とストレスは相互に影響し合います。リラックスする時間を設けたり、ストレスを軽減する方法(ヨガ、瞑想、深呼吸など)を取り入れることも重要です。さらに、趣味や好きな活動に時間を割くことで、心身のバランスを整えることができます。
よくある質問(FAQ)
Q1:ベッドに入ってもうまく寝付けない場合はどうしたらいいでしょう?
無理に寝ようとせず、一度ベッドを離れてリラックスできる活動(本を読む、軽いストレッチをするなど)を行いましょう。部屋を暗く保ちながら、深呼吸や瞑想を試すのも効果的です。また、寝る直前のスマホやカフェイン摂取を控えることが重要です。
Q2:睡眠時間は何時間が適切?
一般的には7〜9時間の睡眠が目の健康を保つために理想的とされています。
Q3:目の疲れを軽減する簡単な方法は?
短時間の目を閉じる休息、人工涙液の使用、温タオルで目を温めることが効果的です。
まとめ
目の健康は日々の生活習慣に大きく左右されます。睡眠不足は目だけでなく全身の健康に影響を及ぼしますが、生活習慣を見直すことで改善が可能です。質の良い睡眠を確保し、目をいたわる習慣を取り入れることで、長期的な目の健康を守りましょう。
【監修者情報】
⽒名: 山口 雄大
所属: サークル帝塚山眼科 院長
専⾨: 角膜感染症、神経眼科
日本眼科学会認定眼科専門医。
和歌山県立医科大学、済生会有田病院にて勤務。
2023年7月、サークル帝塚山眼科を開設し、院長として診療を行う。
眼科医のための情報サイト「眼科医ぐちょぽいのオンライン勉強会」を運営。
日本眼科学会、日本眼科医会、眼感染症学会、神経眼科学会に所属。