2025.01.15
Wednesday
【医師監修】冬のドライアイ対策 ~加湿器の効果とその他の予防策
冬になると、ドライアイ症状が悪化すると感じたことはありませんか?これは空気が冷たく、乾燥していることが原因です。さらに、暖房器具を使用することで室内の空気が乾燥し、目の乾きが悪化します。本記事では、加湿器の活用をはじめとする効果的な予防策について詳しくご紹介します。
目次
冬にドライアイが悪化する原因
冬の環境要因が目に与える影響には以下のようなものがあります。
1.空気の乾燥や暖房器具の使用
冬は空気が乾燥しやすく、大気中の水分が少なくなっています。そのため、涙の蒸発が早まり、目の表面が乾燥しやすくなります。
また、暖房器具を使用することも空気の乾燥の原因となります。エアコンやファンヒーターなどの風が目に直接当たると、さらにドライアイを悪化させてしまいます。
2.体内の水分不足
冬は汗をかきにくいため、水分摂取量が減少しがちです。これにより体全体の水分量が不足し、目を潤すための涙の供給が滞ることがあります。
3.長時間の室内活動
冬は寒さを避けるため、室内で過ごす時間が長くなります。室内でスマホやパソコンなどのデジタルデバイスを使用する時間が増えると、目の乾燥を悪化させる原因となります。
加湿器の効果と選び方
冬の室内は暖房の影響で空気が乾燥しやすく、乾燥が進むと涙が蒸発しやすくなります。加湿器で湿度を50~60%程度に保つことで、目の潤いを守り、ドライアイの症状を和らげる効果があります。特に、暖房を頻繁に使用する環境では、加湿器が目の健康を保つための重要なアイテムとなります。しかし、選び方を間違えると期待した効果が得られないこともありますので、以下の4つの点を意識して選びましょう。
1.部屋の広さに合った加湿能力
購入前に適用床面積を確認し、自分の部屋の広さに合った製品を選びましょう。
2.手入れのしやすさ
定期的な清掃が簡単なものを選ぶことで、衛生面を保ちながら使用できます。
3.静音性
就寝時や静かな環境で使用する場合は静音性の高い製品を選びましょう。
4.費用
商品自体の費用だけではなく、電気代や消耗品の費用にも違いがあります。電気代が安かったとしてもフィルターを定期的に変更が必要なものもありますので、各製品の特徴を知ったうえで購入する必要があります。
加湿器の種類
1.超音波式
特徴:
・水を超音波で振動させて霧状にする方式。
・静音性に優れており、電気代が比較的安い。
・コンパクトでデザイン性の高い製品が多い。
注意点:
・水道水をそのまま使用すると白い粉(カルシウムなどのミネラル成分)が発生することがある。
・定期的な清掃が必要で、手入れを怠ると雑菌が繁殖する可能性がある。
2. スチーム式
特徴:
・水を加熱して蒸気を発生させる方式。
・加湿力が高く、短時間で部屋全体の湿度を上げることができる。
・加熱により雑菌が除去されるため衛生的。
注意点:
・消費電力が大きく、電気代が高くなりやすい。
・熱を持つため、小さな子どもやペットがいる家庭では注意が必要。
3. 気化式
特徴:
・水を含ませたフィルターに風を当てて加湿する方式。
・自然な加湿が可能で、過加湿になりにくい。
・消費電力が少なく経済的。
注意点:
・加湿力は他の方式に比べて控えめ。
・フィルターの定期的な交換が必要。
4. ハイブリッド式
特徴:
・スチーム式と気化式、または超音波式を組み合わせた方式。
・季節や環境に応じて加湿方法を切り替えられる製品も多い。
・効率的で高い加湿力を持ちながら、エネルギー消費を抑えられる。
注意点:
・他の方式より価格が高い製品が多い。
・複雑な機構のため、メンテナンスに手間がかかる場合がある。
日常生活でできるその他のドライアイ予防策
加湿器の使用は効果的ですが、これに加えて目そのものへのケアを行うことで、さらにドライアイの症状を軽減できます。
1. 人工涙液の使用
市販されている人工涙液は、乾燥した目を瞬時に潤すことができます。特に外出前や長時間のデスクワークの合間に使用すると効果的です。
2. ホットアイマスク
ホットアイマスクを目の上に乗せると、瞼の中にあるマイボーム腺が刺激され、涙の質を改善する効果があります。これにより、涙の蒸発を防ぎ、目の潤いを保ちやすくなります。
3. 食事からのケア
ビタミンAやオメガ3脂肪酸を多く含む食品(人参、サバ、アーモンドなど)を積極的に摂取することで、目の健康を内側からサポートできます。
外出時のドライアイ対策
冬の外出時には、冷たい風や乾燥した空気から目を守る工夫が必要です。サングラスやメガネを着用し、風や紫外線を防ぐことでドライアイを軽減することができます。また、人工涙液の点眼を携帯して乾燥が気になったときに使用するのも効果的です。これらの対策を組み合わせて、外出中でも快適に過ごしましょう。
ドライアイが改善しない場合の対処法
もしこれらの対策を行ってもドライアイの症状が改善しない場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。ドライアイの原因を眼科で調べることで、それに対する適切な薬を処方してもらうことができます。また、ドライアイだと思っていた症状が実は全く別の病気だったということもあり得ます。
まとめ:冬でも潤いのある目を保つために
冬の乾燥はドライアイを悪化させる大きな要因ですが、加湿器を使った湿度管理や目のケアを組み合わせることで、ドライアイを改善することができます。特に、日常生活での小さな工夫が大きな改善につながります。
適切な対策を実施し、快適な視界で冬を楽しみましょう。ドライアイの症状がひどい場合は、早めに眼科を受診することを忘れないでください。
監修者情報】
⽒名: 山口 雄大
所属: サークル帝塚山眼科 院長
専⾨: 角膜感染症、神経眼科
日本眼科学会認定眼科専門医。
和歌山県立医科大学、済生会有田病院にて勤務。
2023年7月、サークル帝塚山眼科を開設し、院長として診療を行う。
眼科医のための情報サイト「眼科医ぐちょぽいのオンライン勉強会」を運営。
日本眼科学会、日本眼科医会、眼感染症学会、神経眼科学会に所属。