2025.01.31
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【医師監修】目が充血しやすい人必見!~ドライアイとの関係と対策法~
「朝起きたら目が真っ赤になっている」「パソコン作業後に目が充血してツライ」という経験はありませんか? 目の充血は、一時的な疲れによるものからドライアイやアレルギーなど、さまざまな原因によって引き起こされます。放っておくと、不快感だけでなく視力低下やほかの目の病気につながる可能性もあります。
本記事では、目が充血しやすい方に向けて、ドライアイとの関係や原因、そして具体的な対策法をわかりやすくご紹介します。日頃から目の充血に悩まれている方や、どの段階で眼科を受診するべきか判断に迷う方は、ぜひ参考にしてください。
目次
目が充血しやすくなる主な原因
目が充血しやすい状態は、目の表面や血管に負担がかかっているサインでもあります。大きく分けて、以下のような原因が考えられます。
1.ドライアイによる目の乾燥
目の表面が乾いていると傷ができる原因となったり、炎症が起こりやすくなります。その結果、血管が拡張して充血が目立つようになります。
2.アレルギー性結膜炎などの炎症
花粉やハウスダストなどのアレルゲンが原因で結膜炎を起こすと、目の充血が目立ちます。かゆみが強い場合は目をこすってしまい、さらに充血が悪化することもあります。
3.ストレスや睡眠不足
ストレスや慢性的な疲労、睡眠不足は全身の血流やホルモンバランスに影響を与えます。副交感神経と交感神経のバランスが乱れることによって充血につながる可能性があります。
4.その他の要因
・コンタクトレンズ装用
コンタクトレンズが目の表面を刺激する、あるいは酸素供給が不足することによって目が赤くなる場合があります。特に長時間つけっぱなしにしているとリスクが高まります。
・異物
目にゴミやまつ毛などが入ると、傷や感染を引き起こして充血が長引く場合があります。
・目の感染症
ウイルスや細菌感染があると、充血以外に目やにや痛みを伴うこともあります。
ドライアイと目の充血の関係
ドライアイとは、涙の量や質が不十分で、目の表面が慢性的に乾燥する状態です。通常、涙は角膜や結膜をしっかり潤し、異物や刺激から保護する役割を担っています。しかしドライアイになると、こうした保護膜が弱まり、目の表面に小さな傷がつきやすくなります。これらの傷が刺激となって炎症を引き起こすと、血管が拡張して目が赤く充血しやすくなります。
また、パソコンやスマートフォンを使用していると、集中して見るためまばたきの回数が減ります。そのためドライアイを悪化させてしまうことがあります。さらに、このようなデジタルデバイスの使用やドライアイは眼精疲労の原因にもなり、充血をさらに悪化させてしまう可能性があります。
目が充血してしまうときの対策法
ここからは、目が充血しやすいときに知っておきたい対策法を2つの視点(セルフケア・生活習慣)に分けてご紹介します。
1.セルフケア編
・まばたきを意識して増やす
パソコン作業やスマホ閲覧が多い方は、意識的にまばたきをしましょう。涙が目全体を潤し、乾燥を防ぎやすくなります。
・人工涙液(目薬)の使用
ドライアイ対策として、市販の人工涙液をこまめに点眼すると、角膜の乾燥を予防できます。購入される場合は防腐剤無添加のものがおすすめです。
・ホットアイマスクの使用
ホットアイマスクで目を温めると血行が良くなり、疲れ目の緩和に役立ちます。また、瞼にある油の状態が良くなることでドライアイを改善することもできます。
・こすらない・触りすぎない
充血している目は刺激に敏感です。目がかゆくてもこすらず、清潔なタオルやティッシュでやさしく拭き取りましょう。
2.生活習慣改善編
・パソコン・スマホとの付き合い方
定期的に画面から目を離し、遠く(20フィート先:約6m)を見て目のピントをリセットする時間を取りましょう。20分画面を見ると20秒遠くを見つめる「20-20-20ルール」を意識するのが有効です。
また、画面の明るさを適切に調整したり、ディスプレイ位置を目線より少し低くするのも効果的です。
・コンタクトレンズとメガネの使い分け
コンタクトレンズを長時間装用していると、目の負担となったりドライアイの原因になったりします。自宅にいるときはメガネに切り替えるなど、レンズ装着時間を減らす工夫をしましょう。
・バランスの良い食事と十分な睡眠
栄養バランスが乱れるとドライアイや疲れ目が悪化し、充血しやすくなります。ビタミンA(にんじん、かぼちゃ等)やオメガ3脂肪酸(青魚やナッツ類)を含む食材を積極的にとり、毎日しっかり睡眠を確保しましょう。
・ストレス管理
ストレスは自律神経の乱れにつながり、目の充血やドライアイを悪化させることがあります。適度な運動や趣味の時間を作り、リラックスを心がけましょう。
医療機関へ行くべき症状と気をつけたい合併症
目が充血しやすい場合にはドライアイや目の疲れ以外にも様々な病気が原因となっていることがあります。本記事で紹介した方法を試しても充血がなかなか改善しない場合、見えづらさや痛み、目やにを伴う場合には医療機関で眼科医の診察を受けることをおすすめします。以下のような病気や合併症が原因となっている可能性があります。
・角膜炎や結膜炎
細菌やウイルスに感染している場合は、セルフケアだけでは改善が難しい場合があります。放置すると悪化するリスクがあります。充血や痛みが強い場合や目やにが出る場合は特に注意が必要です。
・コンタクトの不適切使用
コンタクトレンズを長時間使用していた、つけたまま寝てしまった、1日使い捨てのレンズを何日も使っていたなどの不適切な使用があると、目に負担がかかり充血を起こすことがあります。特に角膜に感染が起こると重症化するので早めの医療機関受診が必要です。
・ぶどう膜炎
目の中の虹彩(茶目)や脈絡膜という血管の膜に炎症が起こると、充血や視力低下、まぶしさ、目の奥の痛みを感じることがあります。自分の免疫、細菌やウイルスなどの感染が原因となり、眼科医の診断と処方が治療に必要です。
まとめ
目が充血しやすい原因は、ドライアイやアレルギーなど比較的身近なものから、角膜やぶどう膜の炎症など専門的な治療が必要なものまで幅広く存在します。特にドライアイは、現代の生活習慣(パソコン・スマホの長時間使用など)とも大きく関係しており、多くの方の目の充血を引き起こしている可能性があります。
まずはセルフケアや生活習慣の見直しで、充血やドライアイの予防を意識することが重要です。しかし、症状が長引く場合や悪化する場合、自己判断での対処では改善が難しい場合があります。そんなときは早めに医療機関を受診し、眼科医の診断・治療を受けるようにしましょう。
【監修者情報】
⽒名: 山口 雄大
所属: サークル帝塚山眼科 院長
専⾨: 角膜感染症、神経眼科
日本眼科学会認定眼科専門医。
和歌山県立医科大学、済生会有田病院にて勤務。
2023年7月、サークル帝塚山眼科を開設し、院長として診療を行う。
眼科医のための情報サイト「眼科医ぐちょぽいのオンライン勉強会」を運営。
日本眼科学会、日本眼科医会、眼感染症学会、神経眼科学会に所属。