2025.02.15
Saturday
【医師監修】花粉症シーズンに悪化する目の乾燥 ~効果的なセルフケア~
花粉症の季節には、鼻水やくしゃみだけでなく目のかゆみにも悩まされる人が多いのではないでしょうか。花粉症はかゆみだけでなくドライアイも悪化させてしまいます。この記事では、花粉症でドライアイが悪化する理由や自宅でできる効果的なセルフケア方法をご紹介します。
目次
花粉症シーズンに目の乾燥が悪化する3つの主な原因
1.花粉によるアレルギー反応が目の刺激感につながる
花粉が目に付着すると、体はそれを異物と認識し、アレルギー反応を引き起こします。この反応により結膜に炎症が起こると、目が赤くなったり、かゆみを感じたりします。この炎症により目の不快感が悪化し、ドライアイの症状も悪化させる可能性があります。特にスギやヒノキの花粉は強いアレルギー反応を引き起こしやすいです。
2.目をこすることで乾燥が悪化する
かゆみを我慢できずに目をこすると、角膜や結膜が傷つき、涙を保持する力が低下します。これにより目の表面にある涙の層が不安定になり、目の乾燥が進んでしまうのです。また、こすることで花粉がさらに目に押し込まれることになり、症状が悪化する悪循環に陥る可能性もあります。
目をこすると、乾燥だけでなく角膜の損傷や白内障の悪化、感染のリスク増加が挙げられます。特に、手指が不潔な状態で目を触ると、感染症のリスクも高まるため注意が必要です。
3.花粉症治療薬も乾燥の原因となる
花粉症の治療に使用される抗ヒスタミン薬は、鼻水やくしゃみを抑える効果がありますが、副作用として涙の分泌量が減少し、目の乾燥を引き起こすことがあります。特に内服薬を長期間使用する場合は、乾燥症状の管理が重要です。
また、点眼薬の中にも防腐剤が含まれているものがあり、これが目の表面に負担をかけてしまうことがあります。
あなたの目は大丈夫?目の乾燥セルフチェックリスト
・目のかゆみやゴロゴロ感がある
・まばたきの回数が増えている
・視界がかすむことがある
・コンタクトレンズの装着が不快に感じる
・目が充血している、または涙が出やすい
・長時間の読書やパソコン作業で目が疲れやすい
・目の周りの皮膚が乾燥していると感じる
・光がまぶしく感じることが増えた
これらの症状が複数当てはまる場合は、ドライアイによる目の乾燥が進んでいる可能性があります。ドライアイがあると花粉症の時期にさらに目の不快感が悪化する可能性があるので、以下に紹介するセルフケアを行いましょう。それでも改善しない場合には早めに眼科を受診しましょう。
すぐに始められる!花粉症シーズンに行うべき3種類の対策
1.花粉から目を守るための外出時の対策
花粉防止メガネの使用
通常のメガネに比べ、花粉の侵入を防ぐ効果が高いです。隙間を少なくしたデザインが効果的です。
マスク着用
鼻や口を守るだけでなく、目の周りの湿度を保つ効果もあります。顔にしっかりフィットするタイプを選びましょう。
帰宅後の洗顔
花粉をしっかり洗い流すことで、目の周囲の刺激を減らします。また、洗眼用の人工涙液で軽く目を洗うのも効果的です。
衣類の工夫
花粉が付着しにくい素材の服を選び、外出先から戻ったらコートに付着した花粉を落とす習慣をつけましょう。また、帰宅後に着替えるのも有効です。
2.目の潤いを守る室内環境の工夫
加湿器の活用
室内の湿度を50〜60%に保つことで、目の乾燥を防げます。特にエアコンを使用すると空気が乾燥しやすく加湿が重要です。また、エアコンの風が直接目にあたると乾燥をさらに悪化させるので風向きにも注意が必要です。
空気清浄機の使用
花粉やホコリを除去し、目への刺激を減らします。花粉だけでなくほこりやウイルスなど空気中の非常に小さな粒子まで取り除くことができるHEPAフィルター搭載のものが効果的です。
パソコンやスマホの使用時間の管理
パソコンやスマホの長時間使用はまばたきの回数を減少させ、乾燥を助長します。意識的にまばたきをするようにし、定期的な休憩時間をとるようにするのが重要です。
人工涙液点眼の使用
目が乾いたときには人工涙液の点眼も有効です。頻繁に点眼する場合やコンタクトレンズを使用している場合には防腐剤が入っていないものがおすすめです。
3.目に優しい生活習慣で乾燥予防
目に良い栄養素の摂取
ビタミンAやオメガ3脂肪酸が目の乾燥予防をサポートします。緑黄色野菜や青魚を積極的に摂取しましょう。
十分な睡眠
目の疲労回復と涙の質を改善します。質の良い睡眠が目の健康維持に欠かせません。
温めケア
蒸しタオルやホットアイマスクで目を温めると、血流が良くなり疲労が回復します。また、瞼にたまった油を熱で溶かすことで涙の質を良くする効果もあります。蒸気が出るタイプは、すぐに温度が下がり、油を溶かす効果が半減するため、蒸気が出ないタイプがおすすめです。
ストレス管理
ストレスは自律神経に影響を与え、涙の分泌に悪影響を与えることがあります。リラクゼーションや趣味の時間を持つことが大切です。
セルフケアだけでは不十分?こんな症状は眼科へ!
・強い痛みや視力の低下がある場合
・市販の目薬でも改善しない場合
・コンタクトレンズ使用者で異常を感じる場合
・目やにが増える、または膿のような分泌物がある場合
・目の充血が長期間続く場合
・突然の視界の変化や光がまぶしいと感じる場合
これらの症状がある場合は、早めに専門医に相談しましょう。ドライアイや花粉症だと思っていても、別の病気が隠れていることがあります。原因によっては眼科で処方される薬を使用しなければ治らないものもあります。適切な診断と治療が、重症化を防ぐカギとなります。
よくある質問(FAQ)
Q1:花粉症用とドライアイ用の目薬は併用しても大丈夫?
A:基本的には併用可能なことが多いです。成分によっては併用が推奨されない場合もありますので、心配な場合は医師に相談しましょう。薬の成分的には併用が問題なくても、防腐剤の含まれている目薬を併用することで、防腐剤による目の障害が起こる可能性が高まるのでその点には注意が必要です。
Q2:コンタクトレンズは花粉シーズンに外した方が良い?
A:花粉がレンズに付着することで症状が悪化するため、可能であればメガネの使用をおすすめします。使用する場合は1日使い捨てコンタクトレンズにしたり、使用を最小限にすることを検討しましょう。
Q3:目の洗浄は毎日するべき?やりすぎのリスクとは?
A:洗浄のしすぎは必要な涙まで洗い流してしまうため、1日1〜2回程度が適切です。また、専用の洗眼液や点眼を使用し、普通の水道水は避けましょう。
Q4:花粉症が原因で目の乾燥が悪化するのはなぜ?
A:花粉によるアレルギー反応が目の表面の炎症を引き起こし、涙の分泌や質に影響を与えるためです。
まとめ:花粉症シーズンの目の乾燥を乗り切るために
花粉症シーズンの目の乾燥は、日常のちょっとした工夫で症状を軽減できます。花粉を避ける工夫と、目の潤いを守る生活習慣を取り入れることで、快適な春を過ごしましょう。症状が悪化した場合は、早めに医療機関を受診することも忘れずに!
【監修者情報】
⽒名: 山口 雄大
所属: サークル帝塚山眼科 院長
専⾨: 角膜感染症、神経眼科
日本眼科学会認定眼科専門医。
和歌山県立医科大学、済生会有田病院にて勤務。
2023年7月、サークル帝塚山眼科を開設し、院長として診療を行う。
眼科医のための情報サイト「眼科医ぐちょぽいのオンライン勉強会」を運営。
日本眼科学会、日本眼科医会、眼感染症学会、神経眼科学会に所属。